不肖、芳春!
 日々これよき日を念じ生きてゆこうと思う。  その軌跡を記事にしておこうと思う。

「萬や」の飯

 遠い地ゆえついつい足も遠のきがちだが年末になるとなんだか気になる、ひとつ墓参かねて帰省するかということになった。
 高知市からさらに西に車で五十分、到着した郷里の小高い山上の墓にもうでるとそこら辺り茅々たる有様、生い茂る草をみてわが手に余る気がした。仕方がないがそれでもと泥まみれになって作業すること十数分、草をむしり、花を飾り、水をやり、やっと一息ついた。その後、山を下り時計をみると昼に近い。
 数日前のインターネット「満天土佐」や「中土佐日記」で町役場の近くに「萬や」という食事処があるのを知っていたので、昼食をとそのあたりを一周するが、動きながらの車外、情けないことに動態視力ともなわず「萬」の字を「草」と読み違え、ついついその店前を通り過ぎ、それではと通りかかった老婦に訊ねた。すると彼女は私をしみじみながめ、
「あんた、〇〇さんじゃないの?」と言う。
「そうですが」と答えると、
「ほんと!××の〇〇さんにそっくりやねぇ、お墓参りにおいでちょったのですか、それはそれは」のご挨拶。
 年格好から同じ歳くらいだが、何処のどなた様かとんと見当がつかぬ、いたしかたないのでただただ頷いてばかり、ひとしきり田舎話を聞かされたあげくやっと本筋の「萬や」にふれる。なんのことはない、先程通過した「草や」が「萬や」だった。
「萬やはその角を曲がったところです」と教えてくれた彼女のことも少々気にはなるが六十年余も昔の記憶を呼びもどすは難儀、やむなく一礼し別れた。

 「草や」ならぬ「萬や」は明るく小ぎれいな食事処だった。店に入ると目の前にどかんと大きな竃がすわっている。明るい窓際に坐ると愛想のいいご婦人が出てきた。きょうの献立をたずねるうち「刺身定食」が食べたくなった。
「今日のお刺身定食はビンチョウまぐろと太刀魚ですがどちらにしましょうか」ときく。
 久方の帰省だから“かつおの刺身”か、せめて“たたき”をと所望したが、“大正町市場のとれとれの魚”というわけで、本日の刺身定食はこの2品限りとのこと、そこで生のマグロ刺身にした。
 昔土佐山内候に納めたという「仁井田米」、この辺では「匂い米」というが、それらしき「めし」が碗に盛られ出された。“まきでたいた炊きたてのごはん”とはこれかと食してみるとなるほど旨かった。日ごろ真っ白いごはんばかりの家内はどうやら匂いが気になるらしいが、わが身にとっては昔なじみ、懐かしい味と香りを十分に堪能した。
 食後スモールコーヒー(100円)を追加すると、可愛らしいデザートつきのセットだった、それが下の写真。


・ ・・釜炊きの新米香る昼餉かな・・・

category 俳句  |  2006年 12月 14日 09:39  |  comments( 1 )  |  Trackback( 0 )